特徴としてはGBAの仕様をだいたいひとめぐりしてあって、すべてのプログラムはフルスクラッチで作っています。約x年あまり経過しているけれど、知識に古い新しいがあるのかは関係ありません。緻密さを求めるとただの仕様を解説する単調なものになりやすいし、逆に必要な情報をだけを書き記してしまった場合、応用が利きにくいです。ですが、この本は両方の面を抑えている良書だと思っています。特にすばらしいのはサウンドの章で、音を鳴らす為のwavのファイルフォーマットを説明し、さらに音自身をC言語で自作してしまう徹底ぶりには驚きを隠せませんでした。GBAは教育上の観点からも優れている点を多く持ちます。手軽なCPU、十分なメモリ、見た目を楽しませてくれるLCD、サウンド、タイマ、割り込み、DMAなどのハードウェア資源。プログラミングを勉強する上で、これほど表現豊かな機材はそうそう見つけられません。価格は中古ならば6000円程度(追記:1万円前後!)で売っています。既に絶版なのが残念でならないのだけれど、最後に本の著者(西田 亙さん)の方のページをご紹介させていただければと思います。
Wataru's memo
良い入門書とは何かと言われると、数行程度の短いコードをいくつも載せてあって、途中動作と結果が可視化された本だと思っています。初心者は絵を描くように何度もキーボードを叩いては結果どおりのプログラムを作りたいと夢想するもんです。少なくとも私はそうでした。ソフトウェアという巨大な歯車を作るのが難しいから小さな歯車でも。「Cの実験室」は、3冊もシリーズ販売されていて2ページ見開きです。これはかなり画期的だと思います。「WRITING SOLID CODE」はマイクロソフト社に勤めていた方が書いた本です。バグを作らないようにするにはどうすればいいか、ASSERTを入れろ!ASSERTを入れろ!と口酸っぱく助言してきます。あまりにくど過ぎるので読み終わったときには根負けして、私もこれからアサートをちゃんとつけるよ!という気持ちにさせてくれます。実際、適度にアサートを書いたソースコードはバグの入り込む余地を少なくしてくれます。経験上、どれだけ時間を節約できたかわからないぐらいです。「エキスパートCプログラミング」は軽快な口調でC言語開発環境について解説してくれます。ここだけにしか書いてない著者の案内は素晴らしいです。「組込み現場の「C」プログラミング 標準コーディングガイドライン」はコーディング規約を書いた本です。規約というとコードを書く時の枷のようなイメージもあるでしょう。しかしそもそも自分の書いたコードには癖があって、バグを潜在的に入れてしまう余地を内包しています。もちろん全てを参考にしてほしいとは思われないですけれど(たぶん著者もそう思ってるでしょうけど)判断集(ジャッジ集)として有用です。自分はする、しないと決めるだけでもいいと思います。で・・・ここまで書いて思ったことは全て絶版なんですよねー。どうしてなんでしょう。泣きたいです。
会社などのソフトウェア開発をしたことがある人が後で読み返す本です。即効性は全くありませんが数年単位でじわじわ効いてくる遅効性のようなものを持ちます。重たい本です。どっちも上巻だけで十分かもしれません。「オブジェクト指向入門」は著者の思考というか天才さを垣間見ることができます。文章にエッジが効いてるというか、言語の概念をうまく規定しているというか。翻訳者の力量さも感じます。少なくともプログラミングTips本をいくら集めても、本に記載された深淵には届かないと思わせてくれます。私の人生でプログラミング本を1冊だけ上げるとしたら、間違いなくこの本です。ただ問題なのはページ数なんですよねー。この感動を分かち合うには時間がかかります。なので無職になった時にでも読んでみてください(ぉ。
昔、出版する前にちょっとだけレビューしていました。
プログラミングより前の準備段階というか、考え方を集めた本です。その作業は時間を無駄にしていないか、使用しているツール自体が問題なのではないか、という感じで指摘してくれます。理想過ぎるので自分の性格や不真面目さの塩梅で調整しつつ、バランスを取るのがいいのかもしれません。